その6:ニューメキシコで先住民族文化に触れる

さあ行こう! 魅惑のアメリカ旧国道「ルート66」

 ルート66ファンの皆さん、こんにちは!2021年も早くも折り返し間近になりましたが、いかがお過ごしでしょうか。アメリカはワクチン接種率が高く、多くの州や地域でコミュニティが活性化していると聞きます。そして多分に漏れず、ルート66各地でも博物館やインフォメーションセンター、ダイナーなどが営業を再開、たくさんの私の友人達もドライブを楽しんでいるようにSNSで見受けるようになりました。そんな旅行解禁モードに水を差して大変恐縮ですが、編集部にわがままを言い、本コラムは来月より4か月間お休みを頂戴することになりました。私の本業がこの秋に新企画を発足し、その準備で充分な時間が割けなくなることが理由です。毎月楽しみにして下さっている方には申し訳ございませんが、ご理解頂ければ幸いです。

 さて、本題に参りましょう! 今月のおススメルートは、私の第2の故郷サンタフェを中心に、ニューメキシコ・ルート66の一部を3泊の旅でご紹介します。が、もう皆さんもご存知の通りニューメキシコ・ルート66は見所満載なので、残念ながら紹介する時間的制限の中では1回で全てを見られません。相当絞りますのでご容赦を!

 発着空港は同州アルバカーキ国際空港です。ちなみにアルバカーキの空港はエアポートと言わず、サンポートと呼ぶのでご注意。中型サイズの極めて使い勝手の良い空港で、ゲート内にルート66をモチーフにしたバーがあり、個人的には全米で最も好きな空港です。アルバカーキの街は最後に見るとして先ずはI-25を北へ、サンタフェを目指します。熟練運転者であれば、I-25でなく、サンフェリペ、ケワ、ドミンゴなどのネイティブアメリカンの集落を抜けて行く下道もありますが、ここは無理をせずフリーウェイで1時間走りましょう。途中57番出口では「ラ・バハダ」と呼ばれる州きっての過酷な丘陵地域が望める休憩所もあります。

 サンタフェはニューメキシコ州の州都。独特な街並みや多様な文化の融合が特徴的で、街中には日干しレンガで作られたアドビと呼ばれる赤茶色の建物が軒を連ねており、歴史的な建造物と共に魅力的な景観を生み出し「魅惑の州」と呼ばれる由縁がいっぱいです。1926年開通のルート66は1937年までこのサンタフェを通っていました。詳細は割愛しますが、アメリカ最古の教会「サンミゲル教会」、すぐ裏手にある「アメリカ最古の家」、有名な「奇跡の階段」のある「ロレットチャペル」、「聖フランシス大聖堂」を始め、世界中からアーティストが集まる芸術の街の代名詞、数多くのギャラリーが立ち並ぶ「キャニオンロード」や、街の中心にあるプラザではネイティブアメリカンの人達がアクセサリーや工芸品などを売っているので、お好きなものを選んでお楽しみください。食事は「Tomasita’s」、または「Tia Sofia」。宿泊は思い切って「La Fonda」などいかがでしょう。

 2日目はサンタフェからそのままI-25を更に北へ。目指すは「ラスベガス」(ネバダのカジノで有名な街とは別)です。途中グロリエタの街で一旦下りて、下道をペコス方面へ。午前中はペコス国立歴史公園で過ごします。この公園は、先史時代の考古学的遺跡から19世紀の南北戦争の戦場まで、歴史的な要素が詰まっていて、まさにニューメキシコ文化、ネイティブアメリカン文化の真髄です。サンタフェからラスベガスは僅か70マイル、車で約1時間の距離ですが、今夜はここに泊まります。午後はラスベガスの街を散策、街の顔である「Plaza Hotel」、「Castaneda Hotel」そしてアムトラック駅でルート66の歴史を感じてください。宿泊はどちらも超おススメです。

 3日目はちょっと冒険しましょう。ラスベガスよりI-25で少し戻り、州道84号を南下、サンタローザに立ち寄ります。ここのポイントは「ルート66自動車博物館」、常時50台近くあるクラシック・カーを堪能してください。その後はI-40を西へ、285号線と交差してすぐのクラインズ・コーナーで休憩、州内でも最大級規模のお土産屋さんをエンジョイしましょう。ショッピングが終わったらアルバカーキまで残り60マイル少々、I-40をまた1時間ほど走ります。ただし! 注意して頂きたいことが一つ。アルバカーキのルート66はセントラル・アベニューです。街中までI-40を走らず、街の郊外、同名通りの出口で降りて、ルート66を利用して街の中心に向かって走りましょう。

 アルバカーキは街の発祥地である「オールド・タウン」がメイン。ルート66沿いにあり、古くからの街並みが大切に保存されている観光地。1706年にスペイン人によって作られた歴史的な地区で、スペイン文化が色濃く残っています。文化施設やアートギャラリー、カフェや土産物店が軒を連ね、ネイティブアメリカンのジュエリーや工芸品、メキシコ雑貨などアルバカーキならではのお土産が豊富に。のんびりと歩きながら、旅の疲れを取ることができます。

 ネイティブアメリカン文化に興味のある方は「インディアン・プエブロ文化センター」へ。州内に存在する19のプエブロ部族を紹介する博物館や工芸品の展示があり、各部族の文化や歴史を知ることができる全米でも稀有な観光スポットです。

 また街の西側には「ペトログリフ国定公園」があり、火山岩に描かれた先住民の絵画が保存されています。丘の上からは「サンディア・ピーク」が見渡せ、トラムに乗って地平線を楽しむオプションもあるんですよ。そうそう、食事にはルート66きっての有名ダイナー「66 Diner」を忘れてはいけません。お泊りはルート66沿い、最近再開した「El Vado Motel」、または「Monterey Motel」で決まりです。それではまた11月にお目にかかります!
それまでお元気で!

(後藤敏之/ルート66協会ジャパン・代表)