老舗の味をB級グルメで

EAT OUT 食

 マンハッタンの老舗日本食レストラン「しんばし」が惜しまれて閉店したのが昨年夏。ミッドタウンから離れて、アッパーウエストサイドの目抜き通りブロードウエーから徒歩30秒の72丁目に、元オーナーの片山阿紀子社長と夫の貴之さんが大衆的な日本のメニューを中心に「しんばし72」をオープンした。

 豚の生姜焼き(15ドル)、カレーライス(12ドル)、鰻丼(22ドル)、天丼(13ドル)、うどん、そば(8ドル)など手頃な値段の丼物のほかにも焼き鳥(7ドル)や冷奴(6ドル)、揚げだし豆腐(7ドル)といったしんばし時代からの味を彷彿させる一品料理も提供する。この界隈に日本食レストランが多くないことから出店を決め、日本のスナック菓子や調味料、ペットボトルの飲料水、カップラーメン、米も店内で販売している。いずれは日本酒やしゃぶしゃぶ用の薄切り肉なども扱う予定だという。

 店内はカウンター席を入れて20席あるが、新型コロナウイルスの感染拡大予防のガイドラインに従って当面はテイクアウト専門で営業するという。デリバリーサイトを使った注文も受けている。

 初代女将の細田婦美子さんが他界して6年。店を継いだ長女の阿紀子さんもいずれは自分の娘、恵美子さんにこの店をバトンタッチするという。時代は変わっても、親子三代でニューヨークにしんばしの暖簾は続く。老舗の味をB級グルメで楽しめる、近隣住民に親しまれ、愛されそうなお店の誕生だ。           (三浦)


しんばし72

218 West 72nd St.

New York, NY 10023

Tel: 212-510-7799

営業時間 11:00~21:00

月曜定休