日本語ツアーを再開

メトロポリタン美術館

 メトロポリタン美術館(五番街1000番地)では昨年夏から、コロナ禍で中止していた日本語によるハイライトツアーが再開されている。毎週火・金・日曜午前11時15分から約1時間、知識豊富なガイドが、見どころやおすすめの展示を案内してくれる。

 1月20日、山本伸子さんによるツアーに参加した。まずはエジプトのデンドゥール神殿。ダムに沈む遺跡を丸ごと移築したことで知られる同館必見の展示だ。神と王の見分け方、移築にまつわる逸話など興味深い語りに、早速引き込まれる。フェルメールやルノワールの絵画説明も非常に詳しく、「フェルメールが語っているみたい」「そんな制作秘話があったとは!」と感嘆する参加者もいた。シカゴ駐在中ニューヨークに観光で来た山上圭吾さん真理子さん夫妻は「普段何気なく見ていた作品にいろいろな意味があることに気づかされました」と話していた。この日は他にアメリカ美術、印象派、現代彫刻などを凝縮した内容で廻り、同美術館の魅力の一端を短時間で堪能した。

 日本語ガイドは現在、平日8人、日曜は3人が交代で担当し、全員ボランティア。マニュアルはなく各人がそれぞれ独自の内容で案内するので、同じ作品でもガイドによって異なるそうだ。ガイドになるための勉強は約1年、絶えず情報や知識を収集し、ツアー直前に予定コースを廻り展示が案内する位置にあるかを確認して本番に臨む等、その労力は計り知れない。同美術館やアートを愛する気持ちだけではなく、少しでも深く楽しんでもらいたいという奉仕精神あってこそ。山本さんは「観光でいらした方に限らず、ぜひ地元の方や国内観光の方にも参加してほしい」と話している。

 参加料金は美術館の入場料を払えば無料。集合場所は、大階段の手前左側1階のベレスブランコの回廊(ギャラリー534)。詳細は同館の公式サイトwww.metmuseum.org/visit/plan-your-visit/met-fifth-avenueで「日本語」をクリックする。(小味かおる、写真も)