ワクチンパス365日有効に

CDCの証明カードも有

 デブラシオNY市長は4日、今月16日(月)からレストランやスポーツクラブ、映画館、劇場など屋内施設を利用する際はワクチン接種証明書の提示を義務付けると発表した(8月7日号にて既報)が、屋内施設利用時に提示する予防接種証明としては、州が運営するアプリ「エクセルシオール・パス」が便利だ。

 しかし、以前のアプリのバージョンでは、ワクチンの最終接種日から6か月間しか有効でなかったため、クオモNY州知事が5月下旬に有効期間を365日に延長している。

 パスに365日の有効期限が表示されない場合は、登録サイトからリロードする必要がある。新規登録者は、最終接種日から15日間は同パスを利用できないので注意する。エクセルシオール・パスの詳細はウェブサイトhttps://epass.ny.gov/homewを参照。

 ワクチン接種証明としてほかに、米疾病予防センター(CDC)の接種証明カードを写真に撮ってアップロードするアプリ「NYC COVID SAFE」やCDC発行の紙の証明カードももちろん有効だ。

感染収束道のり遠く
懸念される新学期

 米国立衛生研究所(NIH)のフランシス・コリンズ所長は8日、ABCの討論番組の中で米国は新型コロナウイルスの感染抑制に「失敗している」と警告した。8日の新規感染者は11万360人で今年2月以来の高水準を記録。当初のものより感染力が強いとされるデルタ変異株による感染拡大とされるが、コリンズ所長は「ワクチン接種がもっと進んでいれば現在ような状況に陥ってはいなかっただろう」述べた。またコリンズ所長は、現在12歳未満はワクチン接種の対象ではないため、新学期に児童のマスク着用を義務化しなければ、感染はさらに拡大するだろうと警告した。しかし、アリゾナなど少なくとも8つの州は学校でのマスク着用義務付けを禁止している。

 米疾病対策センター(CDC)は4日、デルタ株が推定で93・4%を占めると報告。新規入院患者はフロリダ、ジョージア、アラバマ、ミシシッピなど南東部の8州だけで41%を占めた。いずれもワクチン接種の割合で下位にある州だ。死亡者数は8日で516人と、症例数に比べると増加傾向は低い。これは重症化や死亡例の多い65歳以上のアメリカ人の80%がワクチン接種を完了させているためと見られている。接種完了者は8日時点で全米国民の50%。接種者は6月に伸び悩んだが7月にはデルタ株への懸念でやや増加傾向となった。しかしそれでも足踏み状態に近い状態だ。

 米国の非営利団体「カイザー・ファミリー財団(KFF)」は8日、ワクチン未接種の成人のうち、53%がワクチンはコロナウイルス自体より危険と思っているという最新調査結果を発表した(7月15日から27日に米国人成人の1500人を対象に調査)。未接種者でも23%はワクチンは救命に非常にあるいは極めて有効と判断していると答えた。断固しないとしたのは約14%で、これは昨年12月の同様調査時と変わらなかった。一方、接種者のうち88%が感染による健康障害はワクチンより深刻と答えている。

 デルタ株に続き、南米などで感染拡大が起きているラムダ株の米国流入も懸念され、3回目となるブースター接種を望む声が強くなっており、米食品医薬品局(FDA)は供給量などを見極めながら慎重に検討を進めている。