日本の水際対策規制緩和で帰国

全日空の羽田便、食事も時間帯も快適

体験搭乗レポート

 米国からの旅行者に課されていた日本での隔離措置がワクチン3回接種者に対してなくなると発表された3月、すぐに日本行きのチケットを手配した。待ちに待った2年ぶりの里帰りには全日空の羽田便を選んだ。以前は確か羽田到着が夜9時頃だったと記憶するが、現在の羽田便はJFKを午後3時に出発、羽田に午後6時到着なので、帰国先が関東の人はもちろん、国内線に乗り継ぐ人にとっても便利なスケジュールとなっている。

 強制隔離や自主隔離は撤廃されたが、米国からの渡航者に対しては現在も厳しい水際対策措置が取られている。まずは飛行機搭乗前72時間以内のPCR検査、次に日本政府の書式に沿った陰性証明書が必要だ。マンハッタンの街角にたくさんある簡易検査所では日本が認める証明書を発行しないため、日本の書式に対応している検査機関を使う必要がある。今回は日系旅行社の「あっとニューヨーク」が素早い対応をしていると聞いて、勤務先から歩いて行けることもあり、同社のPCR検査鼻腔ぬぐい方式を利用した。検査結果が出る早さによって3種類の料金設定(翌日午後6〜8時175ドル、翌朝9〜10時195ドル、検査当日の午後6〜8時245ドル)があり、筆者は翌朝コースを選択。出発2日前の夕刻に同社を訪れ、担当者から手渡された検査用綿棒を自分で鼻の穴に入れてぐりぐりと拭う。これは他人にやられるよりもずっと気分が良い。ぐりぐりした綿棒を担当者に渡して検査終了、あとは結果を待つのみ。翌朝、無事陰性証明書をメールで受け取り、次は入国に必要な書類準備とアプリへの登録が待っている。

 現在日本の水際対策は毎日のように更新され、状況を正しく把握するのが難しい。全日空を利用してとても助かったのは、入国に必要な書類やアプリ登録の方法を順序立てて説明してくれたこと。出発3日ほど前に届いた全日空のメールの案内に沿って、厚生労働省が勧める入国用アプリ「ファストトラック」をダウンロードして必要事項を記入。続いて質問票、誓約書、ワクチン接種証明書をアップロードする。筆者は携帯電話で作業せず、パソコンを使って必要書類をダウンロードして入力、既に画像化してあったワクチン証明書と共にアップロードしようとしたが、何度やってもPDFをアップロードできずに苦労した。ふと思い立ってPDFを画像(JPEG)に変換してみたら、するっとアップロードできたので同じ問題に出くわした方は是非お試しを。

 全ての書類のアップロードが完了すると、それまで赤い背景だった「ファストトラック」が黄色に変わり、「ただいま審査中なのでしばしお待ちを」的な通知が出る。筆者の場合はそれから数時間後に「審査完了」の通知と共に画面が緑色に変わって、出発の準備完了となった。

 JFK空港では事前に「ファストトラック」を済ませていても、チェックイン時に全ての書類の確認作業が行われるため、待ち時間が長い。当時はまだ日本の入国者数が1万人に制限されていた時期だったため搭乗者数は限られていたが、6月以降は2万人に引き上げられることもあり、より一層混雑することが予想される。日本帰国のみならず空港を利用する方はできるだけ早めに空港へ。

 そしてJFK第7ターミナル。4月下旬の時点ではフードコートのベンダーは全てクローズ、開店しているのはバーと高くて不味そうなサンドイッチの売店のみ。おにぎりを持って来るべきだったと激しく後悔しながら、搭乗アナウンスを待つ。そんな腹減り乗客の期待を裏切らないのが全日空の機内食。水平飛行に入って間も無くサービスされた夕食ではポークのミートボールを選択。前菜のサラダ、枝豆、冷たいそうめん、ポテトサラダとハムのほか暖かいスープもついて大満足。飛行機はボーイング777-300、エコノミークラスのシートピッチは34インチ、後部座席を気にせずリクライニングができるスタイルでフットレスト装備、モニターは大きな10・6インチタッチパネル方式で存分に映画を楽しんだ。羽田まで14時間の長時間フライトだが、全日空の良質なサービスと機材のおかげでゆったりと、楽しく過ごすことができた。

 ニューヨークでも日本でもオミクロン株が猛威をふるい、油断できない状況が続いている。この夏日本への帰国を予定している人はこまめな水際対策チェックを忘れずに。(東海砂智子)