ジャパンフェスの仕掛け人

J フォワード代表

ドラゴン山本さん

 いまや年間15万人を集める世界最大の日本食イベントとなったジャパンフェス。その運営会社、Jフォワードの代表だ。2016年以降これまでに67回、お好み焼きやたこ焼き、焼きそばといった「粉もん」や「ラーメン」「おにぎり・ご飯」をテーマにした日本の食文化や浴衣や手ぬぐい、包丁などの日本の生活に密着した日本文化紹介のイベントを手がけている。

 今年は年内12回イベントを開催しているが、過去最大の来場者数となっている。おかげで出店者の売り上げも過去最高を記録し、目標の150%を超える出店者が参加している。「今年はコロナの影響で日本からの出店数が6店舗と少なくなったが、来年日本のコロナが落ち着けば2019年までのように日本から年間40店舗ほどの店が挑戦すると予測しています。来場者はさらに1・5倍になり、フェスの質も上がり、ローカルの出店者も売り上げが上がり、日本のイメージも上がるという好循環になると思います」と話す。

 ニューヨークでの成功体験を聞きつけて、ロンドンパリ、オーストラリアなど世界中から開催のノウハウを求められることもある。「日本から業者が出店することが、現実的にはとても難しく、日本にいては現地のライセンスや保険のことで分からないことだらけなんです。うちは、ライセンス、キッチン、物流もすべてこちらで用意してVIP扱いで来てもらう。そこまでやるんですかと言われるが、だからこそ出店者は黒字になってテストマーケットもできて帰り、またリピーターとして参加してくれるんです」と説明する。2011年ニューヨークへ移住した。世界に通用するジャパンクオリティを海外へ伝えようと、日米の架け橋として、ニューヨークを拠点に現在まで多角的な事業を手がけている。ジャパンフェスのほかに、全米ベストラーメンレストランに選ばれた「Menya Jiro USA」、全米を対象とした日本食のデリバリープラットフォーム「UMAMI SQUARE」を展開、2014年からは慈善事業として会員4000人を超えるニューヨーク最大の日本語が学べるコミュニティ「J-KURU New York」を運営している。

 岡山県出身。2008年に同志社大学経済学部を卒業して大手人材コンサルタント会社に就職したが3年で退職して来米した。本を読み世界のことを知れば知るほど日本の未来も自分の未来もないと思うようになった。まずは世界を知るため、日本を知るためにも、自分の目で世界を見てこようとニューヨークに来た。とは言っても仕事や貯金があったわけでない。新築の家に住んでいた日本のサラリーマン時代とはうって変わって、窓のない地下室の4畳半での生活が2年半続いて、不動産の仕事をしながら食い繋いだという。

 日本での安定した生活に見切りをつけて25歳で日本を飛び出して今年で12年目。「ニューヨークにきてみたら、日本製品の品質、人格、文化、どれをとってもクオリティーが飛び抜けて高いことが分かった。それを日本にいる日本人に知ってもらいたいと思い、日本人が挑戦できる場所を作ろうと年間10回以上イベントを開催しています」。日本をもっと希望の持てる国にしたいという思いがジャパンフェスの根底に流れる。「日本人がもっと団結すれば、日本はもっと世界で頑張れる。ジャパンフェスはそんなきっかけとなるような場所にしていきたい。そのためにももっとたくさんの日本人の方と会いたいし、一緒にジャパンフェスを創っていきたい」。(三浦良一記者、写真も)