知って得する!日本での相続の話 2

「転ばぬ先の遺言書」

 財産を相続する人(被相続人)が日本居住者なら、相続を受ける人(相続人)は居住地を問わず日本の相続税の納税義務者となります。相続発生後は相続人間での遺産分割協議後、誰がどの財産を相続するか全員同意後、協議書に全員が署名して申告・納税をします。納税までの期限は相続開始から10か月以内です。

 これは簡単な事ではなく経験上9割方「争い」(相続ならぬ争族)が生じます。協議が国境を超えるとなおさらです。「海外在住の自分は協議に加われない」、「突然不利な協議書が届いた」、「親族の使い込みで預金が殆どゼロ」など、数多くの相談を受けます。

 たとえ協議が未解決でも、10か月以内の税務署への申告・納税が必要です。その場合、分割協議がまとまっていない状況(未分割)で申告せざるを得ませんが、その場合税制優遇はなく、相続税額が非常に高額です。 

 このような悲劇を防ぐためには「遺言書」が有効です。日本に居る親御さんがお元気なうちに、必ず遺言書を作成してもらいましょう。争族対策、相続税対策についても、早めに日本の税理士に相談することをお勧めします。

 11月4日(木)午後9時よりオンラインセミナー「知って得する! 日本の相続&贈与の話」開催予定。詳しくは10/9号紙面8ページの広告を参照。

大谷 亜紀/TOMA税理士法人 資産税部部長資産税専門税理士。国際相続も含め数多くの相続対策を支援。相談は soudan-s@toma.co.jp まで