このような激烈な我々GAHTと中韓との裁判所での戦いが2014年から2017年にかけて行われた。中韓側は政府は出てこないが、その支援を受けていると思われる勢力がグレンデール市を防衛していた。我々は日本に帰国しては、多くの人に呼び掛けて、支援をお願いした。我々の弁護士団は日本政府からの意思表明をもらえばかなりの効果があると忠告してくれた。それで、ロサンゼルスの日本総領事館に弁護士と共に赴き、総領事に訴えた。若しも、総領事または外務省がこの裁判に関して、強い関心を持っているならば、「原告を支援している」というだけの手紙でもよいから書いてほしいと告げたのである。それに対する答えは、「領事館などに勤務している人たちは外交特権を得ている。そのような手紙を書くと外交特権が失われる」ので書けないという返事を頂いた。日本に帰った時に、外務省の担当官に面会をした。同じような要請をした。帰ってきた返事は、「慰安婦問題は、外交問題でも、国際問題でもない。従って、外務省は何もできない」ということであった。すでにその時は、李明博大統領が慰安婦について日本からの謝罪と賠償を求めて、野田佳彦首相と会談してから数年たった時期であった。外務省の対応には全く失望したのである。
もともと、慰安婦についての政府の対応は最初から間違っていた。1993年の河野談話がすでに謝罪を表明している。その後に作られたアジア女性基金においては、元慰安婦であったと称する人に見舞金を渡して、総理からの謝罪の手紙を出すことによって問題を解決しようとしていたのである。2007年に、米国の下院が日本非難決議を準備していた時には、安倍首相がそれを阻止しようとしたが、米国の強い圧力で抵抗するのを諦めた経験がある。しかし、その後に日本国内で各種の動きがあったので、様子は変わってきた。
その最初の表明は2014年7月16日にジュネーブの国連で行われた自由権規約委員会における日本政府の発言であった。そこで日本政府代表は、慰安婦は1926年の奴隷条約の定義に照らして慰安婦を「性奴隷と呼ぶのは適切でない」と明確に宣言した。この立場は、2016年2月16日のジュネーブにおける外務審議官杉山晋輔(現駐米大使)氏の女子差別撤廃委員会での発言で更に強化された。彼は日本政府の調査の結果、政府や軍隊が強制連行をしたことはなく、彼女らは「性奴隷」ではなかった、そして、20万人という数字はあまりにも過大であると宣言した。この発言が現在の外務省の慰安婦に対する基本的な考えになっている。しかし、その前に締結された2015年末の日韓合意においても政府は謝意を表明しているし、慰留金も支払っている。そのために日本は悪事を働いたことを認めていると海外では解釈されている。
一方で日本政府は慰安婦問題に積極的に取り組み始めた。日韓合意がその端緒である。そこで日本政府はソウルの日本大使館前の慰安婦像の撤去を求めた2017年初頭に釜山の日本領事館前に別の慰安婦像が建てられると、政府は駐韓大使を召還した。その直後にアメリカのアトランタ市の公民・人権センターに慰安婦像の設置がされると判明すると領事と在住邦人との協力で反対し、その決定を覆えさせた。注目されるべき業績である。そして、我々が慰安婦像撤去裁判において米国最高裁判所に審議申請を提出した直後の2017年2月に我々の主張を支持するアミカス「意見書」を外務省がワシントンの弁護士事務所に依頼して提出したのである。そこには、既に「慰安婦問題は外交問題ではない」などとする理不尽な外務省の方針は放棄されてしまっていたのである。日本国の明確な意図が表明されたのである。
このように、日本政府の慰安婦問題に関する態度は変遷してきている。かなりの積極性が出てきているので好ましい変化である。しかし、まだまだ、おぼつかない。この7月20日からリンカーン・センターで公演される予定の韓国系の劇団によるミュージカル「コンフォート・ウィーメン」には領事館は手を出さないであろうし、サンフランシスコで韓国系の財団によって配布された慰安婦授業への学習指導指針に対しても、日本側は見過ごすことになりそうである。

歴史の真実を求める世界連合の会 理事長
目良浩一